Peace Ex Piece

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鳩とオリーブの葉、付け加えるとするなら人間か 第4話 ゲイシー・クラウン(殺人道化) 

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本作品の内容はフィクションです。
登場する人物・団体・地名等は架空のものであり、実在する人物・団体等とは一切関係がありません。

また本作品には過激な表現が含まれておりますが、犯罪にあたる行為など実際に行われますと、刑法により厳重に処罰されますので絶対に真似しないでください。

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 第4話 ゲイシー・クラウン(殺人道化) 

 

 目の前で人が食われている。これは現実か? これは現実だ。握りしめた拳が痛い。奥歯を嚙み締めたら顎が痛い。

 こいつはピエロというやつだろう。あまりにも白すぎる顔色、裂けている口、赤い鼻。パーマのきいた赤い髪。

ピエロ「あっハ!たまんないねェ~!」

グチャグチャグチャグチャグチャ。

これは何かのギャグなのか芸なのか!?だが怯える声がこだまする。

女性「いやぁー!やめて!さとしを食べないでぇぇぇぇぇぇ!」

こんなのが芸であるはずがない!食べられているのは叫び声をあげている女性の子供なのではないのか!

ピエロ「歓声ありがとぉーウ。私の食事パフォーマンスはどうだったかナ? そろそろお腹いっぱいだナ。目的果たして帰るよォォォォォ!あっハハハハハハハ」

女性「あっ……ひくっ……あぁぁぁぁぁぁ!」

女性の目から涙がこぼれた。こんなのは……。

光一「許せない」

俺は女性の肩に手をおいて言った。

光一「さとしくんは帰ってきません。でもあいつだけは俺が」

ピエロ「あハッ?なんだいき~みぃハ?人間風情が私に殺気を向けているのでぇ~すカ?」

ピエロが俺のほうを向いた。どうやらこいつは人間を舐めているらしいな。

光一「おい! そこのクソピエロちょっとこっちこいよ!おいかけっこでもしようぜ? 遊ぶのは大好きだろ? 楽しませてみろよ」

今は出来る限りバカにするなりおちょくるなり注意をこっちに向けなければならない。これ以上犠牲者は出さないために。そして俺は走る。まだ能力は使えない。

ピエロ「ちょっとォ~頭にきちゃったかナ?お腹いっぱいなんだけどナ?けどあの子に命はもったいないよネ? いらないよネ? はっハァー!」

追いかけてきた。さっきいた場所に人が集まっていたおかげで首都のくせに人が全然いない。

光一「使う」

声「わかってるな。無力化して警察につきだす」

ピース「人間は人間を……」

光一「言われなくても! あとピース! あいつは人間じゃねぇ!」

足を止めて後ろを振り向く。するとピエロはあり得ない速度で迫ってきていた!

光一「こいつも!?」

ピエロ「さよなラ」

ピエロの手がこちらに伸びていた。いや本当に腕ごと伸びている。速い!

光一「くっそぉぉぉぉぉぉ!」

大きく横に避ける。

ピエロ「アッ?」

俺は一撃避けただけでもう息があがってしまっている。

光一「はぁはぁ。なんだよこいつ。」

高速移動に腕が伸びるだと? いくらなんでも人間離れしすぎてるだろうが。

ピエロ「きミ? もしかして同胞なのかイ?」

光一「ふざけるな! 誰がお前の同胞なもんか!」

ピエロ「おかしいですネー? ちょっと様子見させていただきますネ。おいでなさーいナ! 人形どもヨ!」

すると目の前が光った。眩しくて瞼をあげれない。

光一「ごふっ」

いきなり腹に衝撃が走った。めちゃくちゃ痛い。何が起こったんだ? 目を開けるとファッションショップのマネキンっぽいのが三体目の前にいた。一体が足を上げている。あいつが俺を蹴ったのか。

光一「くっそ。いきなりこんなことが起きて動揺してるのか力が入らねぇな。腹の痛みも相当なもんだ」

声「ここで仕止めないと惨劇が繰り返される。敵の能力もなにもかも正体不明だがやるしかない」

光一「目の前でなんの罪もない子供が食われているんだ。手加減なんてしないさ」

そうだ。俺はこいつを許せない。全力で潰す。

ピエロ「アッ~待ってくだサイ? 名前聞いてませんでしたシ~名乗ってもいませんでしタ。ワタクシのネームはゲイシー・クラウンと申しまス。アハッハハハハハハハ」

光一「聞いてねぇし名乗る名前もねぇ!」

こいつの話なんぞ聞いてはおれん!人形三体一気に消し飛ばしてやる!得意な踏み込みで一気に詰め寄る。

光一「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

まず一体右足で蹴り飛ばした。残り二体が攻撃に移ろうとしている。だが遅い。俺はこの能力とほぼ毎日付き合ってるんだ。高速移動が出来りゃ動体視力も上がるってもんだ。足を戻し二体の頭目掛けて右ジャブを一発ずつ食らわせてやった。人形の頭がバァンと音を立てて爆発した。

光一「うっ」

くらくらする。高速接近からの蹴りとジャブ二発の全力は少し許容範囲を越えたらしい。

ゲイシー「オミゴト」

殺人道化ことゲイシーはと手を叩いている。

ゲイシー「人形達が何もできませんでしたネー? あなた本当に人間ですかネ? 聞いた話とどうも違いますシ~」

今は無駄話でもさせて時間を稼ごう。すぐには動けそうにない。

ゲイシー「かえりまス」

光一「なんだって!?」

ゲイシー「だってあなたみたいなのが人間だと私たちも考えを改めなければなりませン。なーにすぐに食事にやってきますよ?」

光一「逃がすわけねぇだろがぁぁぁぁ!」

ゲイシー「名残惜しいですカ?なら置き土産でモ」

えっ?気づいた時には俺は床に叩きつけられていた。

光一「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

激痛が走る。もう何が起きているかわからない。所々がいたい。

ゲイシー「あまり調子にのらないことですネ? また会いましょウ」

ゲイシーの言葉を最後に俺は意識を失った。

 

 

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