Peace Ex Piece

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鳩とオリーブの葉、付け加えるとするなら人間か 第11話 永遠の平和は人を弱くする。そして正義とは

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本作品の内容はフィクションです。
登場する人物・団体・地名等は架空のものであり、実在する人物・団体等とは一切関係がありません。

また本作品には過激な表現が含まれておりますが、犯罪にあたる行為など実際に行われますと、刑法により厳重に処罰されますので絶対に真似しないでください。

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第11話 永遠の平和は人を弱くするそして正義とは

 


 ただ事じゃねぇな。

 光一「すぐに向かう! ピース! お前は来ないほうがいい! 隠れていろ!」

 ピース「怖いのは嫌だっぴ! 隠れるっぽ」

 声「嫌な予感がする。博士の研究所が襲われるのはわかる。ヤバいもん研究してそうだしな」

 光一「ロボットに俺の剣。本当にヤバいのは博士が俺に頼ったことだろ?」

 全力疾走で研究者に向かう。心構えはしておいたほうがよさそうだ。

 声「迎撃システムも強そうだし」

 光一「ゲイシーか?」

 声「わからん」

 くそっ! なんだってんだ! またわからねぇことが増えるのか!?

  

永遠の平和は人を弱くするそして正義とは2

 

 研究所に着くと所々が破壊されている。アラームがうるさい。いったいどこに進入者がいるんだ?

 光一「着いたぞ。博士。侵入者はどこだ?」

 ネックレスから声が聞こえる。

 「光一がよく使う練習場じゃ!」

 光一「わかった」

 俺も能力に慣れてきたのか高速移動をした場合、あれだけ広いと思えた研究所内も狭く感じる。すぐに練習場に着いた。

 「歯応えがねぇなぁぁぁ! これで俺を足止めしてるつもりかぁぁぁぁぁ!」

 ロケットも銃弾も軽々かわす外国人っぽいおっさんが暴れている。

 「ははははははっ! 研究員? 博士ぇぇぇぇぇぇ? 聞こえてんだろぉぉぉぉぉ? 往生際が悪いんじゃねぇか?」

 かなり気性が荒そうなやつだな。目も口もつり上がっている。戦いを楽しんでいるのか? 観察してる場合じゃないな。

 光一「おい! おっさん! ここは俺の第二の家みたいなもんなんだよ。散らかすんじゃねぇ。 叩き出してやるよ」

 おっさんがこちらを振り向く。なんだこいつ? 剣幕が全く常人のものとは別格だ。目を合わせただけで逃げ出したくなる。格が違う。そんな気がした。

 「あっ? ガキが俺になんのようだ。 戦場にきちまえば大人も子供関係なくなる。忠告はしたぜ」

 気がつくと銃声が鳴りやんでいる。博士が迎撃システムを止めたのだろう。

 俺は剣を構え敵に駆け寄る。人間じゃ俺には勝てない!

 光一「はぁぁぁぁぁ!」

 敵に近づいた俺は剣を横に一閃する。

 「甘いなぁぁぁぁぁぁ」

 なっ! 避けただと!? 剣が重い。見えていても反撃出来ない。

 敵が懐に入ってきて。ボディーブローがまともに俺の腹に直撃した。

 光一「うっ」

 俺の体は吹き飛ばず、頭を押さえつけられ床に叩きつけられる。そしてサッカー選手のシュートの如くキックで吹き飛ばされた。

 「遊んでやるよ」

 光一「ごほっごほっ。」

 この威力……。確実に能力だな。

 光一「おっさん。その力」

 「あぁ最近使えるようになってな。使えるものはつかわなくちゃぁぁぁぁな!」

 接近してくる。先の攻撃を受けたことで俺の手から剣ははなれてしまっている。

 出来ることをしなければ。音速を使うしかない。全身に力を込めて音速パンチで迎撃する。

 敵が目の前。今だ!

 光一「うぉぉぉぉぉ!」

 全力を放った瞬間、俺の頬に痛みを感じる。

 そして俺は大きく吹き飛んだ。

 また俺は地面を舐めている。もうなんなのかわからない。

 「いやぁ勇敢だなぁ。力もないのになぁ。力は一応あるのか? それにしても俺に刃向かうとはなぁ」

 やばいな。俺の音速も通じない。化け物過ぎるだろう。

 光一「てめぇなんなんだよ!」

 「ジャックだ。名乗っていなかったなぁ? この国ではいちいち今からこの世にお別れを告げるやつに名前を名乗らないといけないのか?」

 光一「俺はこんなとこで倒れるわけにはいかねぇんだよ!」

 すぐに俺の体が横に飛ばされる。動体視力も弱まっている。何が起きているのかわからない。

 「見ると特に守るべきものもなく戦ってるように見えるなぁ。ガキ」

 光一「第二の家を守ろうとしてるじゃねぇか! それと俺は子供じゃねぇ! 」

 「俺が言いたいのは薄っぺらいって言っているだぜぇ。そんな覚悟じゃ何も守れやしない。戦争屋の先輩としてのだ。よく聞いておくんだな。俺は元傭兵だ。俺の祖国は核によって滅んだ。その時に妻も子供も失った。俺は核を落とした国が許せなかった。ゲリラにも参加した。軍を転々とした。だがな圧倒的な力の前では無力に等しかったさ。ただ俺にはな、才能があった。生まれついて動体視力がよかっただぜ? わかるか? 人をあの世に送る才能があったんだぜ。 核の存在が消えて軍事開発も進まなくなった。兵器が手に入り難くなった。殲滅兵器を開発した連中が世界から消えたから作ったら消されるんじゃないかと開発する連中も減った! だがな俺のように戦争を望む人間はいるんだ!  可能なら実行しなければならない! 不可能なら断行しやければならねぇぇぇぇんだよ!」

 蹴りを入れられる。

 光一「ぐはっ」

 「自らを価値なしと思うやつが真に価値がねぇんだよ! 俺はまだ価値がある!力なき復讐者に力を与えなければならない! 永遠の争いが人を強くし、永遠の平和が人を弱くする! 世の理がこれだ!」

 ジャックと名乗る元傭兵が言っていることは、真実だろう。でも俺は。

 光一「正論だ。でも俺はお前の言葉を真に受けるわけにはいかない! 平和の何が悪い! 嬉しいとき、楽しいとき、ずっとこんな時間が続けばいいな。って思うことの何が悪いってんだ!」

 「話しすぎたな小僧。俺も焼きが回ったな。せめて苦しまず終わりにしてやる。博士に見せつけないとな。正義は必ず勝つや悪は滅びるなんてのはなぁ。勝ったものが正義だからだ! 敗戦国は必ず悪になる! 俺はこの場において絶対的正義になってやるよぉ!」

 

永遠の平和は人を弱くするそして正義とは3

 

 視界からヤツが消えた。倒れているのは俺。

 さっきまで足を震わせていたのが嘘のようにヤツはそこに立っていた。色素が抜けた金色の髪ではなく漆黒の髪に。気づけば髪の色まで変わっている。

 「誰だお前。誰なんだよぉぉぉぉぉ!」

 もう小僧とは呼べない眼差しでジャックの前に立ちはだかっているのは……。

 「俺は俺であり、俺ではないものだ」

 

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